READY PLAYER ONE感想(ネタバレ有)
感想を書くのは大変ですね。
続いてはスピルバーグの娯楽大作READY PLAYER ONEの感想を書いてみようと思います。
詳しい考察は他のレビューブログをご覧いただくとして。以下、イントロダクション。
スティーブン・スピルバーグ監督が、アーネスト・クラインによる小説「ゲームウォーズ」を映画化したSFアクション。貧富の格差が激化し、多くの人々が荒廃した街に暮らす2045年。世界中の人々がアクセスするVRの世界「OASIS(オアシス)」に入り、理想の人生を楽しむことが若者たちの唯一の希望だった。そんなある日、オアシスの開発によって巨万の富を築いた大富豪のジェームズ・ハリデーが死去し、オアシスの隠された3つの謎を解明した者に、莫大な遺産とオアシスの運営権を明け渡すというメッセージが発信される。それ以降、世界中の人々が謎解きに躍起になり、17歳の孤独な青年ウェイドもそれに参加していた。そしてある時、謎めいた美女アルテミスと出会ったウェイドは、1つ目の謎を解き明かすことに成功。一躍オアシスの有名人となるが、ハリデーの遺産を狙う巨大企業IOI社の魔の手が迫り……。作中のゲーム世界には、アメリカはもとより日本のアニメやゲームに由来するキャラクターやアイテムなどが多数登場する。(映画.comより)
予告編
映画『レディ・プレイヤー1』日本版予告【HD】2018年4月20日(金)公開
感想
楽しく観れて、アッという間に終わってしまいました。
ストーリーは王道冒険もので非常にシンプル。
グーニーズやE.T.、80年代以降のサブカルが好きならズバッと刺さると思います。しかしこれとペンタゴンペーパーをほぼ同時期に監督するとか、スピルバーグはどうかしてるでしょう(笑)本当に71歳なのかと。
ちょっと奮発してIMAX3Dで観て良かったー!
備忘録
概要
「映像化不可能と言われた原作、奇跡の映画化」
こういった触れ込みは色んな映画でされてきましたが、これもその類の映画です。
そりゃそうです。上映時間140分間、画面を飛び交う版権、IP、知的財産の嵐!
これらの許諾を得るだけでもよくやったなぁと思いますが、それを可能にした恐らく世界で唯一の人間こそ、今作の監督、スティーブン・スピルバーグ御大でしょう。
「スピルバーグが監督なら喜んでうちのキャラクターを使って下さい!」てなるのは想像に難くありません。これがマイケル・ベイとかローランド・エメリッヒだったなら無理だったでしょう。大事なキャラクターに牛乳飲ませたり、マグロ食わされたりしたら大変ですからね!
本来グロ描写になるはずの部分の流血シーンを散らばるコインで描写することで、レーティングも見事G(一般指定)を獲得。年齢世代を問わない娯楽大作になりました。
You got to roll with the punches and get to what's real
この映画の本質は冒頭にかかるVAN HALENのjumpが陽気に説明してくれてます。
1985年に世界で2番目に売れた曲(1番はマイケル・ジャクソンのスリラー)は「タフな目に遭ってるかもしれないけど、現実に目を向ける為に困難を避けていこうぜ」と歌っています。
その為のオアシスであるべきだと、スピルバーグは創始者のハリデーの姿を借りて言っています。あくまでこの現実世界を大事にしろと(後述)
それと同時に「今からみんなの大好きな80年代以降のサブカルを惜しげもなく出しますよー!なぜなら、この映画は貴方のための映画だからです!」というスピルバーグの高らかな宣言でもあるのです。
もうWikipediaを見て
映画のストーリー自体は恐ろしくシンプルです。
オアシスの生みの親、ハラデーの遺産をめぐってオアシス内に隠されたイースターエッグを見つけて億万長者を目指せ!女の子とのロマンスもあるよ!部活に恋に勉強に!!
・・・140分を持たせるには明らかに貧弱な内容です。
しかしこの作品の醍醐味にして最大の仕掛けが、140分を超える時間を短いものに感じさせています。1980年代からのサブカルネタを切れ目無くクロスオーバーさせて、我々観客にもイースターエッグに参加させるという手法です。
僕も含めて皆が血眼になってスクリーンに釘付けとなりました。「あそこのシーンでアレが出てた。まさかアレを登場させてくれるとは!」
イースターエッグ探しの映画でイースターエッグ探しをする観客。
みんなスピルバーグの手のひらで踊らされてたのよ。
イースターエッグの元ネタに言及していたらキリが無いので、Wikipediaをみて下さい。
それを承知の上で僕に刺さったネタTOP3。
・シャイニング完コピ(一番笑ってしまった)
・金田のバイク(本物に触ったことがあるだけにテンション上がりましたよデコ助野郎)
とにもかくにも
ありがとう!スピルバーグ!!
現実の世界はリアルだからだ
E.T.では宇宙人との冒険を通して、少年が両親の離婚という避けられない現実に立ち向かう物語でした。80年代辺りのスピルバーグは父性の喪失、両親の不在、過酷な現実に立ち向う子供たちの成長物語としてSF映画を撮ってきました。
この映画でも主人公達、世界の人々が置かれている現実は過酷です。
それだけに現実とオアシスを行ったり来たりする事になります(現実世界とオアシスで3D映像の深度が違っているのは世界の差別化を図りたかったのかもしれません)
劇中ではパーシヴァルことウェイドがアルテミスにうっかり本名を伝えてしまったせいで、ウェイドのおじとおばが殺されてしまったり、捕まったアルテミスを助けるべく、ウェイドたちが現実とオアシスの切れ間を使ってソレントを出し抜くシーンなど、現実とオアシスの間で様々な駆け引きが起こります。
オアシス内でキャラが死ぬと所持していたアイテム、お金、全てが0になるという鬼畜仕様なので必死になるのは理解できますが、影響が及んで大事になるのはやっぱり現実な訳です。
前述したとおり「真の幸福を見いだせる場所は現実の世界だけ」「現実の世界はリアルだからだ」とスピルバーグの分身であるハリデーに諭されたウェイドは、オアシスの運営を引き継いだ後、世界にも現実に立ち向かってもらう為に毎週火曜と木曜を休みにしました。
「火曜日と木曜日にしかログインできない人もいるんですよ!そういう人の立場になって運営できないんですか!?」
そんなクレームがあるのかどうかは分からないですが、とにかく現実の生活に関わる時間を増やせば、オアシスに逃げ込んでいた物語の世界が少しでも良い方向に向かうのかなと思います(休みに関してはもう少しやりようがあったろうと思いますけど)
勿論、さっきから血眼になってイースターエッグ探しに励んでいた我々も、彼等がそうした様に、上映終了の客電が点いたら現実へと還って行かねばなりません。
俺はガンダムでいく
最近は声出し可能な特別上映が増えています。
これこそ応援上映をしてみたい映画です。
権利的に難しいのかもしれませんが、是非絶叫したいですね。